性格とは5つの要素のグラデーションである!ビッグファイブ理論で自分の正確な性格をチェックする方法

 性格テストを受けてみたけれど、やるたびに結果が変わってしまったり、誰にでも当てはまるような内容でしっくりこなかったりした経験はないでしょうか。あるいは、テスト結果を見ても自分には当てはまらない部分が多くて、モヤモヤした感情が残ったという方もいるかもしれません。

それもそのはず、世の中に広まっている性格テストの中には、科学的根拠が乏しく占いの域を出ないものや、欧米で開発されたため文化や感覚の異なる日本人に対しては精度が落ちてしまうものが数多く存在します。さらにそうした精度の低いテストが企業の採用面接や人材配置といった重要な場面で使われているケースが多いのが怖いもの。

では、本来の性格とは一体どのような構造をしており、どのように捉えれば正しく理解できるのでしょうか。今回は現代で最も精度の高い性格分類であるビッグファイブ理論を見ていきたいと思いまーっす。

性格は5つの要素で決まる

まず、性格という概念を理解する上で、現在の心理学界で最も高い信頼と実証的根拠を得ているのが、人の性格を5つの大きな要素に分類して捉える考え方です。これはビッグファイブ理論と呼ばれ、人間が日常で使う言葉や行動のパターンを大量に集めて整理した結果、どんな人でも以下の5つの側面のバランスによって性格が形作られていることが分かっています。

これらは、頭文字をとってOCEANと呼ばれています。

  • 開放性(Openness)
    新しい体験や知的な冒険、芸術や自由な発想に対する受け入れやすさを表す要素です。この値が高い人は好奇心旺盛で抽象的な思考や変化を好み、創造的なアプローチを得意とします。一方で値が低い人は、現実的で具体的、伝統や実績のある確実な方法を好む傾向があります。

  • 誠実性(Conscientiousness)
    自分の感情や目前の衝動をコントロールし、目標に向かって計画的に行動できるかを示す要素です。この値が高い人は自己統制力や責任感が強く、スケジュール通りに地道に物事を進めることを得意とします。一方で値が低い人は、規則にとらわれず柔軟で即興的な行動をとる傾向があります。

  • 外向性(Extraversion)
    外部の世界や人間関係、刺激に対してどれだけ積極的に向かっていくかを表す要素です。この値が高い人はエネルギッシュで社交的であり、人との関わりや刺激的な環境からエネルギーを得ます。一方で値が低い人は内向的と呼ばれ、静かな環境を好み、一人でじっくり思考を深める時間を大切にします。

  • 協調性(Agreeableness)
    他者に対する思いやりや、集団の調和を保とうとする利他的な姿勢を表す要素です。この値が高い人は他者の感情に共感しやすく、人との協力を惜しみません。一方で値が低い人は、周囲に流されず独立心が強い傾向があり、妥協せずに自分の意見を通したり批判的な視点を提供したりする強みを持ちます。

  • 神経質傾向(Neuroticism)
    ストレスやプレッシャーに対する精神的な耐性、あるいは不安や悲しみといったネガティブな感情の感じやすさを測定する要素です。この数値が安定している人は、トラブルが起きても取り乱さず冷静に対処できます。一方で感受性が強く不安を感じやすい人は、リスクを事前に察知したり慎重な確認を行ったりする危険管理の面で力を発揮します。

これら5つの要素は、どれか一つが優れているという話ではなく、それぞれの特徴がどのように組み合わさっているかによって、その人ならではの個性や行動傾向が作られているということです。

しかし、この5つの大枠を知るだけでは、実際の日常やビジネスの場面で自分を深く理解するには不十分な場合があります。なぜなら、たとえば同じ外向性が高い人であっても、グループを強引に引っ張るリーダータイプなのか、単に賑やかな場所が好きでお喋りを楽しみたいタイプなのかといった、具体的な行動や動機の違いまでを見抜くことが難しいためです。

そこで、性格の解像度をさらに上げるために、5つの大きな要素をそれぞれ5つずつ、合計25の細かな側面へと分解して捉える方法が生み出されました。ここでも OCEAN の順番に沿って、それぞれの具体的な中身を見ていきます。

  • 開放性

    1. P1:游意 遊び心を持って物事を面白がり楽しむ度合いです。ユーモアを交えて生活や仕事を明るく過ごそうとする姿勢に関わります。

    2. P2:空想 想像力を存分に働かせ、現実の枠を超えたアイデアや物語を思い描く度合いです。自由な思考や夢を広げる力に関わります。

    3. P3:芸術への関心 絵画や音楽、自然の美しさなど、美しいものに対して深く感動したり関心を持ったりする度合いです。感受性の豊かさを表します。

    4. P4:内的経験への敏感 自分自身の内面で起きている感情の変化や微細な身体感覚に気づく度合いです。自己の心を深く味わう力に関わります。

    5. P5:奔放 既成概念や既存のルールにとらわれず、思いのままに自由に振る舞う度合いです。枠にはまらない直感的な行動に関わります。

  • 誠実性

    1. C1:几帳面 身の回りの整理整頓を心がけ、細部まで正確に作業を進めようとする度合いです。雑な状態を避け丁寧さを保つ傾向を表します。

    2. C2:慎重 物事を進める前に予想されるリスクや危険をしっかり検討し、軽はずみな行動を避ける度合いです。安全確実な道を選ぶ姿勢に関わります。

    3. C3:責任感 自分に与えられた役割や人との約束を、最後まで投げ出さずにやり遂げる度合いです。周囲からの信頼に応えようとする誠実さを表します。

    4. C4:自己統制 目前の誘惑や目先の欲求をグッと抑え、本当にやるべきことに意識を集中させる度合いです。意志の強さに関わります。

    5. C5:計画 目標を達成するために、事前に手順やスケジュールを組み立てて見通しを立てる度合いです。無駄のない効率的な動きに関わります。

  • 外向性

    1. Ex1:活動 身体的・精神的にエネルギーに満ち、テキパキと動く度合いです。停滞を嫌い行動的に過ごそうとする意欲を表します。

    2. Ex2:支配 周囲の人々を引っ張り、自分が主導権を握って影響力を与えようとする度合いです。リーダーシップの強さに関わります。

    3. Ex3:協同 人と一緒に過ごすことや、グループでの賑やかな交流を積極的に楽しむ度合いです。人と打ち解けようとする社交性を表します。

    4. Ex4:刺激追求 退屈を避け、新しい体験や未知のスリル、リスクのある変化を求める度合いです。冒険的なチャレンジ精神に関わります。

    5. Ex5:注意獲得 周囲からの注目や関心を自分に集めたいと思う度合いです。自分の存在や成果をアピールして認めてもらう喜びに関わります。

  • 協調性

    1. A1:温厚 人当たりが柔らかく、他人に対して攻撃的な態度をとらない度合いです。無用な衝突を避け穏やかに接する姿勢を表します。

    2. A2:協調 集団の輪を尊重し、自分の主張よりも周囲の意見や方針に合わせようとする度合いです。チームワークを重視する傾向に関わります。

    3. A3:信頼 他人は基本的に善意を持って接してくれていると信じる度合いです。人を無闇に疑わず素直に受け入れる姿勢を表します。

    4. A4:共感 相手の悲しみや喜びに寄り添い、他人の感情を自分のことのように感じ取る度合いです。深い思いやりの心に関わります。

    5. A5:他者尊重 自分と異なる価値観や立場を持つ相手であっても、一人の人間として敬い配慮する度合いです。礼儀や節度を守る姿勢を表します。

  • 神経質傾向

    1. Em1:心配性 まだ起きていない未来のことに対して、取り越し苦労や不安を感じやすい度合いです。数値が高いほどどっしりと構えられます。

    2. Em2:緊張 プレッシャーのかかる場面で体に力が入ったり不必要な焦りを覚えたりする度合いです。数値が高いほどリラックスを保てます。

    3. Em3:抑うつ 失敗したときなどに気持ちが落ち込み、憂鬱な状態を引きずりやすい度合いです。数値が高いほど感情の切り替えが早くなります。

    4. Em4:自己批判 上手くいかない出来事があった際、自分を強く責めたり過度に反省したりする度合いです。数値が高いほど自己肯定感を保てます。

    5. Em5:気分変動 その時々の状況によって感情の起伏が激しくなり、機嫌が変わりやすい度合いです。数値が高いほど常に平穏な心を維持できます。

性格は生まれつきの遺伝子と今まであなたが身をおいた環境によって形成されています。そのため、このように性格を25の要素にまで細かく解像度を上げて分析することで、

  • みんなと違ってコツコツ頑張れない自分は能力がないのだ

  • 新しいものに興味を示さないのはやる気が足りないのではないか?

  • すぐに落ち込んでしまう人は成熟していない証拠だ

  • 明るく他人と接するスキルが絶対的な人間の成長サインだ

  • 周りの人のことを考えられない自分は自己中でダメな人間だ

などといった間違った自己や他人への批判がなくなるのではないでしょうか。

日本人向けの正確な性格テスト

そして自分の性格を知ることは、適したコミュニティを探す場面や他人との関わり方、自分の得意不得意を認識するうえでとても重要になります。

ただし、ここで最も注意しなければならないのが、自分の性格を測定するためにどのようなツールを選択するかという点です。欧米の言語や文化的背景を前提に作られたテストをそのまま日本語に翻訳しただけのものでは、微妙なニュアンスのズレが生じ、本来のあなたの姿を正しく分析できませんので、日本人の心理特性や行動様式に合わせて開発され、かつ25の要素まで正確に判定できるアプローチを選ぶことが重要になります。

そこで役立つのが、日本人の心理特性に基づいて作られたFFPQ50という質問集です(R)。これらはまさに、ここまで解説してきた5つの大枠と25の細かな側面を正しく測定するために設計された設問群ですので、ご自身の日常の行動や考え方にどれくらい当てはまるかを以下の5段階で採点してください。

  1. 全くちがう

  2. ちがう

  3. どちらともいえない

  4. そうだ

  5. 全くそうだ


では、以下の50問を答えてみてくださーい。

  1. 憂鬱になりやすい (Em3)

  2. 自分がみじめな人間と思える (Em4)

  3. ものごとがうまく行かないのではないかと,よく心配する (Em1)

  4. 小さなことにはくよくよしない *(Em1)

  5. 見捨てられた感じがする (Em3)

  6. 自分には全然自信がないように思えることがある (Em4)

  7. 陽気になったり陰気になったり,気分が変わりやすい (Em5)

  8. よく緊張する (Em2)

  9. 明るいときと暗いときの気分の差が大きい (Em5)

  10. 緊張してふるえるようなことはない *(Em2)

  11. 大勢でわいわい騒ぐのが好きである (Ex3)

  12. 地味で目立つことはない *(Ex5)

  13. にぎやかな所が好きである (Ex4)

  14. 大勢の人の中にいるのが好きである (Ex3)

  15. もの静かである *(Ex1)

  16. 人の役に立つことが多い (Ex2)

  17. 人に指示を与えるような立場に立つことが多い (Ex2)

  18. じっとしているのが嫌いである (Ex1)

  19. 人から注目されるとうれしい (Ex5)

  20. スポーツ観戦で我を忘れて応援することがある (Ex4)

  21. あまりさっぱりした人間ではない *(C1)

  22. 仕事を投げやりにしてしまうことがある *(C3)

  23. よく考えてから行動する (C5)

  24. 仕事は計画的にするようにしている (C5)

  25. 責任感が乏しいといわれることがある *(C3)

  26. まじめな努力家である (C2)

  27. 根気が続かないほうである *(C2)

  28. 几帳面である (C1)

  29. しんどいことはやりたくない *(C4)

  30. 欲望のままに行動してしまうようなことは,ほとんどない (C4)

  31. 誰に対しても優しく親切にするようにしている (A5)

  32. 人には温かく友好的に接している (A1)

  33. 人の気持ちを積極的に理解しようとは思わない *(A4)

  34. あまり親切な人間ではない *(A1)

  35. 人情深いほうだと思う (A2)

  36. 人のよろこびを自分のことのように喜べる (A4)

  37. どうしても好きになれない人がたくさんいる *(A3)

  38. 出会った人はたいがい好きになる (A3)

  39. 気配りをするほうである (A2)

  40. 人を馬鹿にしているといわれることがある *(A5)

  41. 芸術作品に接すると鳥肌がたつ興奮をおぼえることがある (P3)

  42. 美や芸術にはあまり関心がない *(P3)

  43. 考えることは面白い (P1)

  44. イメージがあふれてくる (P2)

  45. 自分の感じたことを大切にする (P4)

  46. 変わった人だとよく言われる (P5)

  47. 空想の世界をさまようことはほとんどない *(P2)

  48. 好奇心が強い (P1)

  49. 感情豊かな人間である (P4)

  50. 異世界に行ってみたい (P5)


採点方法

*のついている項目は点数を以下のように逆転させてください。

  • 1ー>5

  • 2ー>4

  • 3はそのまま

  • 4ー>2

  • 5ー>1

そして各項目をすべて足して終了。

おわり

お疲れ様でした!50の質問に答えて、ご自身の25の要素の数値が出揃ったかと思います。

ビッグファイブ理論が教えてくれる最も重要な事実は、「性格に良い・悪いという優劣は一切存在しない」ということです。

たとえば、神経質傾向が高く心配性な人は「リスク管理に長けた慎重な人」であり、誠実性の計画性が低い人は「変化に素早く対応できる柔軟な人」です。白黒つけるタイプの診断とは違い、自分の持つグラデーションの濃度を知ることで、これまで「弱み」だと思い込んでいた部分が、環境や捉え方次第で強力な「強み」に変わることに気づけたのではないでしょうか。

自分の正確な特性を把握できれば、以下のような日常の選択がぐっと楽になります。

  • 得意を発揮できる環境を選ぶ(静かな環境で集中する仕事か、変化と刺激の多い仕事か)

  • ストレスの種を事前に回避する(苦手なコミュニケーションパターンや環境を把握しておく)

  • 他者とのギャップを受け入れる(「あの人とはこの要素のバランスが違うだけだ」と割り切る)

無理に誰かの理想像に自分を合わせる必要はありません。今回見えたご自身の「 OCEAN 」のバランスを理解し、自分が一番生き生きと過ごせる環境や関わり方を整えていくための武器として、ぜひ活用してみてくださいませませー!