日光は浴びろ!けど紫外線は避けろ!太陽との付き合い方を考えよう

昨日「みんな海に行こうぜ!」という話を書きましたが、そこで切っても切り離せないのが「紫外線」の問題です。

多くの人は「日焼け=絶対悪」として、一歩も日に当たらないようにヴァンパイアのごとく生きているか、あるいは逆に「小麦色の肌こそ健康の証!」とノーガードで太陽に飛び込んでいくかの二極化に陥っています。しかし、これらはどちらも科学的には大間違い。日光を完全に避ける生活はシミを防ぐ代わりにあなたの健康を脅かしますし、無防備に太陽を浴びすぎれば、当然のように肌の崩壊と病気のリスクを招くことになります。

今回は、肌の老化を防ぎつつ日光を浴びて健康メリットを享受する方法を書いてみまーっす。

日光浴のメリット

日焼けによる害を恐れる前に、まず「なぜリスクを冒してまで人間は太陽の光を浴びなければならないのか」という強力なメリットを整理しましょう。

① 免疫機能が高まる

ビタミンDは骨を強くするだけでなく、体内の免疫システムを正常に稼働させるために絶対に欠かせない必須栄養素です。しかし人間はこれを自力で合成できず、食事から摂るか、肌に日光を浴びて合成するしかありません。

このビタミンDの合成能力には、実は「肌の色」が大きく関係しています。肌が黒い人々は、進化した強力なメラニン色素を持っているため、紫外線を過剰に跳ね返してしまいます。そのため、体内でビタミンDを合成する効率が非常に低いのです。

これを証明する痛烈なデータがあります。ビタミンDを合成しにくい黒人層において、新型コロナウイルスの死亡率が白人層に比べて顕著に高かったという事実です。日光浴とビタミンDは、私たちの生存能力に直結していることが分かります。

【エビデンスソース】 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32947259/

② ビタミンDの利用効率が高い

「食べ物から摂ればいいじゃん」と思うかもしれませんが、そう簡単ではありません。ビタミンDには植物由来の「ビタミンD2(キノコ類など)」と、日光浴によって作られる動物由来の「ビタミンD3」の2種類があります。人間の体にとって圧倒的に利用効率が高く、免疫や代謝に大きく寄与するのは「ビタミンD3」のほう。キノコを食べるよりも、太陽の光を浴びてみずからD3を作り出すほうが圧倒的に効率が良いのです。

③ 血管を拡張してくれる

さらに驚くべきことに、紫外線を浴びると皮膚に貯蔵されていた「一酸化窒素(NO)」が血液中に放出されます。この一酸化窒素には血管を拡張させる働きがあるため、血圧が下がり、結果として心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患による死亡リスクを低下させることが明らかになっています。

【エビデンスソース】 https://www.sciencedaily.com/releases/2013/05/130507195807.htm

④ 睡眠サイクルが整う

朝の光を浴びることでメンタルを安定させる幸福ホルモン「セロトニン」が分泌され、これが夜になると睡眠ホルモン「メラトニン」に変わるため不眠が解消されます。さらに、日光浴は脳内で「β-エンドルフィン」という快楽物質の分泌を促すため、ストレスを和らげる効果まであるのです。

紫外線のリスク

そんなに健康に良いなら太陽に当たりまくろう!ってなるのはちょっと待っていただいて、お次に紫外線がもたらす害についても整理しておきましょう。

① 皮膚がんのリスク

統計上、悪性黒色腫などの皮膚がんの約80%は紫外線ダメージの蓄積が原因であるとされています。若いうちに無防備に浴び続けた紫外線ダメージは数十年にわたって蓄積していくので対策しておきたいですね。

【ファクトチェックソース】 https://micro-ctc.cellcloud.co.jp/article/skin-cancer-mole

② 肌の「光老化」

肌が老化する原因の約8割は、年齢による衰えではなく「紫外線ダメージ(光老化)」です。無防備な日光浴は、確実にシミとシワを量産してしまいますので、若さを保ちたい方々にとっても対策が必須。

③ 「目」への大ダメージ

目も紫外線によって日焼けします。無防備に紫外線を浴び続けると、急性では目が激痛に襲われる「雪目(電気性眼炎)」になり、蓄積すれば視界が濁る「白内障」を引き起こします。白内障は現代の日本では手術で治療可能ですが、網膜へのダメージは確実なので、サングラスはファッションではなく目を守るためにつけておきたいところ。

紫外線は3種類ある

これらのメリットとデメリットを生み出している犯人は、紫外線に含まれる異なる波長の光です。特徴を正しく理解しなければ適切な対策はできませんので、こちらも簡単に押さえておきましょう。

  • UVA(紫外線A波):窓ガラスや雲を突き抜ける光
    地表に届く紫外線の約9割を占め、家の窓ガラスや曇り空すら透過して肌の奥(真皮)まで到達します。シワやたるみ(光老化)を引き起こす主犯格です。ただし、前述の「一酸化窒素(NO)」を放出させるメリットも持っています。

  • UVB(紫外線B波):ガラスや雲である程度遮断される光
    エネルギーが非常に強く、肌の表面を赤く焦がすサンバーンの原因になります。シミや皮膚がんの直接的な引き金になる有害な光です。しかし体内で「ビタミンD3」を合成させる唯一のスイッチでもあります。

  • UVC(紫外線C波):最悪の破壊力を持つ光
    生物のDNAを破壊する凄まじい威力を持っていますが、地球を包む「オゾン層」によって完全にブロックされるため地表には届きません。日常で対策する必要はないので、書いておいてなんですが忘れてください。笑

紫外線対策の方法と「戦略的日光浴」

「日光を浴びないと病気になる。でも、浴びすぎると老ける」 このジレンマを解決するガイドラインはこんな感じ。

まず、アンチエイジングを徹底するなら、「朝起きて部屋のカーテンを開ける前に日焼け止めを塗る」ことです。シワの原因になるUVAは窓ガラスを突き抜けて部屋に侵入してきますので、起きたままノーガードで窓辺に行き朝日を浴びる行為は、自ら顔にシワを刻み込んでいるようなものです。まずは家の中で鉄壁の防御を完成させてください。

例外としての「戦略的日光浴(15分)」

とはいえ、1日中ガードしていてはビタミンD3も一酸化窒素も作られませんよね。そこで、1日の中で特定の場合にのみ、ピンポイントに日光浴の時間を作ります。

日中の適切な時間に、「顔には日焼け止めをしっかり塗った状態で、腕や足などの『体の表面積の約2〜3割』を露出させ、15分間だけノーガードで散歩をする」のです。環境省および国立環境研究所のデータでも、夏場であればこの程度の露出と時間で皮膚への害を最小限に抑えつつ、必要なビタミンD3を100%チャージできることが示されています。顔の老化は防ぎつつ日光浴のメリットは享受する作戦です。

【エビデンスソース(国立環境研究所)】 https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html

日焼け止めの選び方

では、光ダメージから身を守るためにまずは、世の中にある日焼け止めの仕組みを正しく理解しておきましょう。

① SPFとPAの意味

  • SPF(Sun Protection Factor)
    主にUVBを防ぐ指標です。肌が赤くなる日焼けをどれくらい遅らせられるかを表します。「SPF30」なら、何も塗らない場合に比べて赤くなるまでの時間を30倍延ばせるという意味。SPFは30-50もあれば十分で、これ以上のものを選んでもどうせ塗り直さなきゃいけないから無駄になる可能性のほうが高い。

  • PA(Protection Grade of A)
    主にUVAを防ぐ指標です。「+」の数が多いほど、肌の奥へ侵入してシミやシワを作るのを防ぐ能力が高くなります。PAは4段階で示され、++か+++で十分。

② 日焼け止めの「2つの仕組み」とその特徴

日焼け止めは、紫外線をブロックするアプローチの違いによって大きく2種類に分類されます。

  • 紫外線吸収剤(一般的なサラサラタイプ)
    成分が紫外線を一度吸収し、それを熱などのエネルギーに変換して放出します。透明で白浮きせずサラサラとしているため使い心地が良いのがメリットですが、肌の表面で化学反応が起こるため、敏感肌の人はまれに刺激を感じることがあります。

  • 紫外線散乱剤(肌に優しいタイプ)
    成分が紫外線を物理的に反射・散乱させて跳ね返します。肌の上で化学反応が起きないため刺激が少ないのがメリットですが、性質上どうしても質感が重くなりやすく、白浮きしやすいという特徴があります。成分表示の上の方に「酸化亜鉛」や「酸化チタン」って書いてあればこれ。

③日焼け止めの正しい塗り方

上述のように日焼け止めは毎日塗る必要がありますが、多くの人が規定量の「4分の1」程度しか塗れておらず、効果が得られていません。そのため環境省のガイドラインが推奨する、正しい顔への塗り方の手順を書いておきますので参考にしてみてください。

  1. クリームならパール粒1個分、液状なら1円玉大を手のひらに取る。

  2. おでこ、鼻、両頬、あごの「5点」に分けて置く。

  3. 指の腹を使って、顔全体にムラなく丁寧に伸ばす。

  4. 【最重要】全体になじんだら、全く同じ量をもう一度手に取り、同じ手順で「重ね塗り(2度塗り)」をする。

この「2度塗り」をして初めてパッケージに書かれている本来の防御性能が発揮されます。さらに、汗や摩擦で落ちるため、2〜3時間おきに塗り直すのもお忘れなく。

【出典元:環境省「紫外線環境保健マニュアル」】 https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/03.pdf

ビタミンCも合わせて使う

紫外線対策は日焼け止めだけではありません。紫外線を浴びると肌の内部で「活性酸素」という細胞を攻撃する有害物質が大量に発生し、これがメラニンを過剰生成させてシミを作ります。このプロセスを外側からブロックしてくれるのが、肌に直接塗る「ビタミンC」です。

ビタミンCは強力な抗酸化作用を持っています。よく市販のペットボトル飲料に「酸化防止剤(ビタミンC)」と書かれているのを見かけますが、あれは飲み物自体が酸素に触れて劣化する代わりに、ビタミンCが自ら進んで先に酸化(身代わりになって破壊)されることで中身を守っているのです。

これと同じ現象を、肌の表面で再現します。日焼け止めの隙間をぬって侵入してきた紫外線ダメージに対し、あらかじめ肌に塗っておいたビタミンCが「身代わり」となって活性酸素を消去します。これにより、メラノサイト(シミの工場)への命令がブロックされ、シミの発生を未然に防ぐことができるのです。

UVカットの洋服を選ぶ

紫外線は衣服でもガードするのが基本。衣服の紫外線防止能力は「UPF」という世界基準の指標で表されまして、最高値は「UPF50+」で、これは何も着ていない状態に比べて紫外線の影響を1/50(2%)にまでカットするという意味になります。

衣服で紫外線カットをしたい場合は、通気性とのトレードオフになることを心得ておきましょう。どういうことかと言うと、UVカットの機能を高めようと思うとラッシュガードのように繊維の密度は高くなります。繊維が細かいということはつまり風を通しにくいということなので通気性は悪くなってしまうのです。そのためUVカット系の服を探すときは、裏地に接触冷感の素材が使われているのがオススメ。これならUPFは高いまま蒸れて暑苦しいっていうことにはならないはず。

さらにUVカット系の服を選ぶときは1サイズ上のものを買うのが◯。服がよれて表面積がデカくなるほどUPF以上のUVカットが見込めます。

まとめ

ってことで太陽との正しい付き合い方でした。ざっくりガイドラインをおさらいしておくと、

  1. 朝起きたらカーテンを開ける前にビタミンCを塗って、その上から日焼け止めを二度塗りする。

  2. 2-3時間ごとに日焼け止めを塗り直す

  3. 日中15分は手足を出して外に行く。

  4. それ以外の外出時は全身をUVカット系の服で覆う。

  5. サングラスやマスクもできたらする。

という感じ。僕が学生の頃は男が日焼け止め!?って風潮がまだあった気がしますが、若さを保つためだけじゃなくて健康のためにも紫外線対策はしなきゃなーって気分になっとります。おわり。