毒親に共通する4つの特徴と3段階の対処法

まずはご自身の環境を振り返って以下のような経験や違和感がないか一度考えてみてください。

  • 家にいるとき常に親の顔色を伺って緊張している

  • 親の言う通りにしないと無視されたり激しく怒られたりする

  • 自分の部屋のドアを閉めることを許されないなどプライバシーがない

  • 他の人の家庭の話を聞いたときに自分の家が異常に厳しかったと気づいた

  • 友人や恋人から「あなたの親の言動はどこかおかしい」と指摘された

いずれも毒親に育てられた人が経験するものでして、私も心当たりがあったりします。しかし自分自身がそのような環境で育っていたとしても、子どもの頃はそれが当たり前の日常であるためなかなか異常事態に気づけないものです。私も大学生のころ友人から指摘されて初めて自分の親の接し方が普通ではなかったと気づきましたし。

なので今回は毒親の持つ特徴と、そんな毒親とどう接するべきか?ってとこを書いてみまーっす。

毒親の持つ4つの特徴

まず前提として、科学や精神医学の世界には毒親という明確な病名や研究対象の区分けは存在しません。しかし子どもの心身に深刻な悪影響を及ぼす不適切な養育行動については心理学や小児精神医学、脳科学などの領域で多くの研究が行われていて、その知見から子どもに悪影響を与える親の行動は主に4つの特徴に分類されます。

1. 心理的統制(Psychological Control)

心理学の領域では過干渉や罪悪感の植え付け、愛情の条件付けによって子どもの心理的自立を妨げる行為を心理的統制と呼びます。親の期待に応えたときだけ褒めて失敗すると無視するといった無条件の肯定の欠如がベースにあります。親が「あなたのためにこんなに苦労している」と同情を誘って子どもをコントロールするのも特徴です。

心理的統制には以下のような事例があります。

  • 子どもの進路や交友関係をすべて親の思い通りに決めようとする

  • 親の意見に反論すると「親不孝者」「育て損だった」と責め立てる

  • 子どもが自立しようとすると体調不良を訴えて引き止めようとする

これらの特徴は、行動をコントロールするのとは違います。◯時には帰ってきなさい!宿題が終わらないと遊びに行っちゃダメ!のような単に子どもの行動を縛るものは害が出づらいのに対して、せっかく塾に通わせてるのに...こんなこともわからないの?笑といったような恥や罪悪感によってこちらを動かそうとしてくる、このような行為は子どもの自己評価を著しく低下させ、大人になってからの抑うつや不安を強力に予測することがわかっています。

私も失敗した時に笑われて「そんなこともわからないの!?はぁ」というようにため息混じりで呆れられることがよくあったなー。笑

関連ソース:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4168436/

2. 不適切な養育環境(児童虐待とマルトリートメント)

小児精神医学や脳科学の領域では虐待やネグレクト、家庭内の不調和を含めてマルトリートメント(不適切な養育環境)と呼びます。これらは身体的や精神的な侵害行為であり子どもの心身に最も直接的なダメージを与えます。

不適切な養育環境には以下のような事例があります。

  • 日常的な言葉の暴力や「生まれてこなければよかった」などの存在否定

  • 必要な食事や医療、衣服などを与えない身体的ネグレクト

  • 子どもの感情的な訴えやSOSを意図的に無視する情緒的ネグレクト

米国疾病予防管理センター(CDC)などの大規模調査(ACE研究)では幼少期にこうした家庭内機能不全を経験した子どもは成人後にうつ病や依存症、身体疾患のリスクが劇的に高まることが世界的なコンセンサスとなっています。またハーバード大学の研究では「激しい暴言」や「面前DVの目撃」だけで子どもの脳の構造が物理的に変形してしまうこともわかっています。

アルコール依存気味の父と情緒的ネグレクト気味の母が絶えず夫婦喧嘩をしていた家庭で育った私は白目なわけです。

関連ソース:https://www.cdc.gov/violenceprevention/aces/index.html

3. 親の情緒的不安定と役割逆転(Parental Psychopathology)

家族心理学の領域では親自身の精神疾患や感情コントロールの欠如、情緒的な未熟さが子どもに波及する現象が確認されています。親自身の気分によって家庭内のルールや態度が激変するため、子どもは常に過覚醒状態(神経が張り詰めた状態)になります。また親が子どもに愚痴を言ったり依存したりして子どもに親の役割を強制するペアレンティフィケーション(役割逆転)もこれに含まれます。

親の情緒的不安定と役割逆転には以下のような事例があります。

  • 自分の仕事のストレスや人間関係の不満をすべて子どもにぶつけて発散する

  • 夫婦間のトラブルの仲裁を子どもにやらせたり配偶者の悪口を吹き込んだりする

  • 親自身の寂しさを埋めるために子どもを自分の所有物のように扱う

コレは大いに身に覚えがある問題でして、私に子どもが出来てからは親から頻繁に「合わせろ!」という連絡が来るようになったんですが、子どもをモノのように扱い写真を撮るためなら子どもが泣いていてもお構いなしでした。やめてと言っているのに飼っている犬を無理やり抱っこして落としたこともあります。さらに会わせろという連絡を2回無視しただけで「もう遺産は一円も残さない。もし残ったらみんなで使い切ってあいつ(私のこと)には一円も渡さないで」と親戚に言って回っているそうな。

このような感情の予測不能さや極端な報復行動は親自身の情緒的な未熟さからくるもので、子どもが適切な愛着を形成するのを著しく妨げることがわかっております。

関連ソース:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3074559/

4. 不安定な愛着スタイル(Insecure Attachment)

発達心理学の領域には愛着理論という、子どもと保護者の間に結ばれる情緒的な絆を研究する分野があります。親が子どもの発信するサインに対して一貫性のない態度(無視したり過剰に拒絶したり時に過保護になったり)を取ることで子どもは親を安全な場所(安全基地)だと感じられなくなります。

不安定な愛着スタイルには以下のような事例があります。

  • 子どもが恐怖や不安を感じているときに共感的なアプローチをせず冷淡に突き放す

  • 親自身の都合が良いときだけ子どもを可愛がり求めてくるときは拒絶する

  • 子どもの感情表現を禁止し常に親にとって都合の良い良い子であることを強いる

このように親の態度が気まぐれである環境で育つと子どもは成人してからも他者を信頼することが難しくなり、対人関係で強い不安や生きづらさを抱えやすくなります。私もどこか家族の一員になれていないような感覚がありまして、いい子ちゃんでいなければならないという圧力に反発してみたりしたこともありました。

関連ソース:https://www.psychologytoday.com/us/landing-attachments

自分を守るための3つのステップ

では、もし自分の親にこれらの特徴が当てはまると感じた場合どのように対処すればよいのでしょうか。ここからは心理学や行動科学の知見をお借りして、具体的な対策を段階を追った3つのステップにまとめてみました。

ステップ1:Iメッセージによる意思表示と行動変容の試み

まずは親に対して自分の気持ちを冷静に伝え、相手の行動が変わるかどうかを試みます。親からの不適切な関わりに対して感情的に怒鳴り返したり逆に黙り込んで我慢したりするのではなく、自分の意思を明確に示すことがスタートです。このときに有効なのが私を主語にして伝えるIメッセージというコミュニケーション技法です。事実、感想、要求という3つのフレームワークを使って冷静に伝えます。

  1. 事実(Fact)の提示
    客観的に見て誰もがそう思う事実だけを伝えます。「バカにした」あるいは「見下した」という表現はあなたの主観的な解釈が入っているため避けてください。これらは相手に言い訳の余地を与えてしまいます。「大きな声を出した」「部屋のドアを外した」「連絡を1週間無視した」というように目に見える客観的な行動だけにすることに注意してください。

  2. 感想(Feeling)の共有
    その事実に対してあなたがどう感じたのかを伝えます。この時、絶対に相手を否定しないことが最大の注意点です。「なんでそんな言い方をするの?」と相手を責めると親は攻撃されたと感じてすぐに反撃モードや自己防衛モードに入ります。「無視されると私は悲しい」「大声を出されると私は怖い」というように親の行動によって自分自身の内面にどのような感情が生じたかだけにしぼりましょう。これならまずはあなたの話を聞いてくれるはず。

  3. 要求(Request)の提案
    最後にあなたが親に求める行動を伝えるんですが、命令ではなく提案ベースにするのがポイント。「~大きな声でいわないで」ではなく「もう少しこういう言い方をしてくれると嬉しい」という表現にします。一方的に要求を押し付けると相手は不公平さを感じてしまい、その穴を埋めるための無理な交換条件を提示してきやすくなりますので、「2人のこれからの関係性を良くしたいから」という共通のゴールを頭に置いておくとよいです。「育ててくれて本当に感謝しているしこれからも仲の良い親子でいたい、だからこういうときは静かに話してほしい」というように感謝や関係性への願いを前置きにして伝えると相手の行動変容を促しやすくなります。

ステップ2:場面を把握して距離を測る

ステップ1の方法を何度か試しても親の行動に全く改善が見られない場合、次に考えるべきは接触の頻度を下げることです。すべての時間を完全に断絶する前段階として親が不適切な行動に走る特定のトリガー(引き金)や場面を正確に把握する必要があります。

親の言動は24時間常に異常なわけではなく特定のシチュエーションで悪化することが多いです。 例えば以下のような場面がないか分析してみてください。

  • お酒を飲んで酔っ払っているとき

  • 親戚や周囲の人が集まって見栄を張りたくなるとき

  • 親自身が仕事やプライベートでストレスを抱えてイライラしているとき

  • 子どもが自分の思い通りに動かずコントロールを失いそうだと感じたとき

これらを特定したらその状況になる集まりには一切参加しない、お酒の席には同席しない、会う時間を短時間のランチだけにするというようにそのシチュエーションを徹底的に避けます。会う回数や関わる時間を自分でコントロールして調整していくことで、親からの心理的ダメージを大幅に減らすことができます。

関連ソース:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4926050/

ステップ3:エスケープによる完全な保護

上記までの行動をすべて尽くしてもどうしても相手が変わらず、自分の精神がすり減って生活や健康に支障が出ている場合は、親を変えることを諦め自分を第一優先にして避難を試みるのが最善の選択肢です。実家を出て物理的にも離れ連絡は一切取らず、なるべく親から心理的にも離れることを意識します。

ここでは親に対して「あなたと距離を置きます」とはっきり宣言するのではなく、無言で距離を置く(フェードアウトする)ことにしましょう。激しい心理的統制や暴力性、情緒的不安定さを持つ親に対して正面から絶縁や距離を置く宣言を行うと、親の激しい怒りや執着に火をつけてしまうリスクが極めて高いためです。結果としてストーカー行為や家への待ち伏せ、周囲の親戚を巻き込んださらなる嫌がらせや報復行為に発展するケースが多く報告されています。あなたの安全を最優先に確保するためには何も言わずに物理的な距離をとり、電話やメッセージの連絡を徐々に無視して絶っていく方が賢明です。

関連ソース:https://www.issendai.com/psychology/estrangement/

自己否定に陥らないためのセルフコンパッション

と、ここで親と距離を置いたりエスケープしたりする選択をすると「親不孝なのではないか」「親と仲良くできない自分は人間として最低なのではないか」と強い罪悪感や自己嫌悪に陥ってしまう人が少なくありません。そこで実践してほしいのがセルフコンパッション(自己慈愛)という心理学のアプローチです。これは自分自身の苦しみに気づき、大切な友人を思いやるのと同じように自分を優しく扱う心の態度を指します。

あなたが親に対する自分の行動で自己卑下に陥ったときは、以下の言葉を自分に問いかけてみてください。

もし、あなたの親友があなたと全く同じ状況で悩んでいたら、あなたはその親友に何と声をかけますか。「親と仲良くできないなんて最低な奴だ」と責めるでしょうか。

親と仲良くできないからといってあなたが最低な人間であるわけでは決してありません。あなたのことを一番に考えた親友ならきっと、今までそんなに辛い環境でよく耐えて頑張ってきたね、まずは自分の身と人生を一番に守ってね、と温かい言葉をかけるはずです。親と距離を置くのは自分を守るための正当な防衛策だよ、と伝えるでしょう。その親友にかける優しい言葉を、そのまま今の自分自身に向けてみてください。親友なら誰もあなたを責めないという事実を忘れないでください。

関連ソース:https://self-compassion.org/the-three-elements-of-self-compassion/

まとめ

最後にこの記事で紹介した特徴と対策を箇条書きでまとめておきますと、

親の不適切な行動特徴

  1. 失敗を笑う、罪悪感を植え付けるなどして子どもを支配する心理的統制

  2. 暴言や威嚇、食事の制限、プライバシーの侵害などの不適切な養育環境(マルトリートメント)

  3. 子どもに執着し、思い通りにならないと親戚に不満を言い散らす情緒的不安定

  4. 日によって態度が激変し、子どもの安全基地になれない不安定な愛着スタイル

自分を守るための具体的な3ステップ

  1. 事実、感想、要求のフレームワークを用いたIメッセージで意思表示をする

  2. 親が不適切になるシチュエーションを把握し、その場面を徹底的に避けて距離を測る

  3. 改善が見込めない場合は、トラブルを避けるため宣言をせずに無言で連絡を絶ち物理的にエスケープする

親との関係に違和感を抱くことは決してあなたが悪いわけではありません。まずは自分の育ってきた環境を客観的に見つめ直し、親の不条理な要求に応えることではなく自分自身の心と人生を最優先に守る選択を考えてみてください。

私もコレを書いているだけで結構しんどくなったので、皆様セルフコンパッションもお忘れずにどうぞー